大学生×留学生 短編1.


「だから、自分をプレゼント、ってやればいいだろ。」

「それは前にやったんだって言っただろ。コウイチ、そんなに喜ばなかったし。」

デパートのクリスマス特設コーナーで、たまたまサクラと出会って、俺はコウイチへのプレゼントを相談した。しかし、サクラから返ってくるのはつまらない返答ばかりだ。

「サクラは本当につまらないやつだな。」

そういうと、真っ赤になって頬を膨らませる。「なら自分で考えろよ!」と頭から湯気が出ているかのように、分かりやすく怒る。

サクラを見ていると、こういう純粋なところが、羨ましくなる。俺には無い、良いところだ。カリームも、サクラのこういうところに惚れたんだろうな。未練があるわけでは無いけれど、あの生真面目な(中身は少々変態だが)カリームを落としたサクラは、もっと自分に自信を持っても良いと思うんだけどな。

「湯上の喜ぶものなんて、俺、知らないよ。」

「役に立たないな。」

「バイト先が一緒なだけで、学校でもそんなに話さない奴の事なんて、詳しく知ってる方がおかしいだろ?!」

「コウイチの好きなタイプとか、せめてそれくらいは知ってろよ。」

「お前こそ!付き合ってるのはアランなんだから、それくらい知ってろよな!」

そうなんだよなあ。今付き合ってるのは俺なのに、コウイチはあまり自分のことを話してくれない。どんなタイプが好きとか、テレビを観ていても、全く興味無さそうにぼーっと流し見している事が多い。コウイチ、セクシーなの、キュートなの、どっちが好きなの?

「じゃあ、サクラの意見を聞く。」

「は?」

「サクラが、今から日本人代表。日本人は、どんなプレゼントが好み?5分でプレゼンして。」

「な、」

「はい、スタート!」

あわあわしながらも、真剣に考えるサクラ。何やかんや良い奴なのは、知っている。お人好し、ってやつ。

「日本人ならやっぱり清楚な感じが好きなんじゃ無いかな。」

「うん。」

「あんまり派手だったり、そういうプレゼントは困るというか。」

「地味な方がいいって事?」

「地味っていうか、皆が好きなものが好き、みたいなところがあるから。」

「詳しく。」

「王道?人気ナンバーワンの、無難なやつがいいかも。」

「なるほど。」

「だから、湯上にプレゼントするとしたら、」

「この時季だと、」

「「手袋。」」

サクラと目があって、ニヤリと笑うと、さすがのサクラも嬉しかったようで、笑ってくれた。あ、可愛いな。サクラって、やっぱり可愛い。最初に目付けたもんなあ。完全にカリームのモノなのは、昔の俺だったらちょっと残念に思う。

サクラに教えてもらって、日本で人気のブランドの手袋を買った。コウイチに似合いそうな、濃いグレーの手袋。縁にチェックの模様が入っているのがポイント。なかなか良いんじゃないだろうか。

 

「コウイチ!メリークリスマス!」

部屋でケーキとチキンを囲んで、プレゼントを差し出すと、コウイチは少し驚いた顔をした。

いつもと、」

「うん?」

「いつもの、俺がプレゼント、とか馬鹿な事しないのか?」

え、まさか、コウイチはそっちの方が良かった?胸が高鳴ったけれど、今日は真面目なんだ。早く開けて、と急かす。

手袋。」

「そう!気に入った?」

すると、突然笑い出すコウイチ。何かおかしかったかな。もしかして、失敗したかな、と不安になっていると、コウイチが横から袋を取り出した。それは、俺がプレゼントしたものと同じブランドの袋だった。

「被るとか、あり得るかよ。」

中身を見ると、コウイチにあげたものと色違いの、ブラウンの手袋だった。

コウイチの目をじっと見つめて、首を横に振る。

「被ってもいいよ。俺、嬉しい。コウイチとペアなんて、とても嬉しいよ。カップルって感じ。」

「恥ずかしいだろ。」

「恥ずかしくなんか、」

「俺は、恥ずかしいぞ。」

「そんな事言わないでよ!一緒に付けよう。ね?」

分かったよ。」

片手に付けてくれた、俺のあげた手袋。やっぱり、コウイチに似合う。格好良い。嬉しくて擦り寄ると、チキンを片手に持ちながら、手袋をした手で頭を撫でてくれた。

で?」

「え?」

「いつものは、ない訳?」

ニッ、とコウイチの口角が上がる。何でもお見通しだ。でも、改めて言われると少し恥ずかしくなって、小声で言う。

「その今日はサンタクロース。」

「サンタクロース?」

「赤いやつで、リボンがついて、る?!」

いきなりジーンズを下げられて、下着が丸見えになった。

「ハハッ、本当だ。サンタクロースだ。」

「こ、コウイチはこういうの、あんまり好きじゃないの分かってるんだけど、やっぱり、」

「履きたかったんだ。変態。」

コウイチの冷たい言葉に、背筋がゾクゾクした。

「収まり切ってないじゃん。」

「そ、れは、」

「しかも勃ってるし。何、期待してんの?もう、少し濡れてる。」

「ご、めんなさい。」

真っ赤になって顔を伏せ、とりあえず謝る。でも、俺知ってるんだ。こういう時のコウイチは、結構乗り気だって事。

「コウイチ、触って、ください。」

「嫌だよ。」

予想外に拒否されて、少し落ち込む。

「手、塞がってるんだって。触れないだろ。」

「そ、そうだね、ごめん。」

「あ、でも、」

そこに座って脚開いて、と命じられて、言われるがままの格好をする。と、コウイチの足が伸びてきて、股間をぐ、と踏みつけられる。

「ひっ…♡

「これなら良いかな。手も汚れないし。」

足の裏で擦り上げ、指を器用に使って俺のものを扱く。目線はほとんどチキンだけど、たまにこちらをチラリと見る目は、俺を痛めつける時のコウイチの目。俺の好きな、冷ややかだけれど楽しそうな目。

親指と人差し指で、先端をぐり、と捻られる。

「痛っ…♡、」

「痛いの?」

ぐりぐりと捏ねられると、痛いけれど、それに反して正直に反応して、更に勃ち上がる。

「痛、い、けど、」

「けど?」

「あ気持ちい、い、です…♡

「ハッ。本当ドMだよな。」

思い切り押し付けられて、ぐ、と力を入れられると、途端に精液が溢れ出た。

「足でいくとか、どんだけだよ。俺、靴下汚れたんだけど。」

「ごめん、待って。」

しゃがみこんで、コウイチの靴下を舐める。自分の精液で汚れていようが関係ない。コウイチの命じたことをするのが、俺の快感なんだから。

「は、ふ

「美味そうにしゃぶってんな。」

「おいひいよコウイチの足はっおいひっ

コクリ、とコウイチの喉が鳴った。手袋をした手で俺の髪を引っ張ると、顔を近付けキスをしてくれた。上顎を擦るように、俺の口の中でコウイチの舌が暴れる。

「んんんっ

じゅるじゅると涎が垂れる。舌を吸われた途端、俺は再び果てた。

「俺の服を汚すな。」

「ごめ、だって、コウイチが、」

「俺のせいにすんの?」

「違っ、俺、コウイチにも気持ちよくなって欲しいっ…♡

コウイチのジーンズを下ろして、一心不乱にそれを口に含む。ある程度勃つと、俺は跨って自分の穴に当てがった。

「だから、手、」

「コウイチはっ、動かなくていいっ俺が動くからぁっ

腰を振りながらコウイチを見ると、チキンの油でてらてらした唇が艶かしくニヤリと笑っていた。

 

「あれ?それ。」

「貰った。」

「じゃあ、アラン、上手くいったんだ。良かった。」

桜の入れ知恵か。」

「入れ知恵っていうか、相談受けただけだよ!何?なんか悪かった?」

「いや、別に。」

笑ってる?湯上、笑ってる?!」

「煩い、桜、黙れ。」