7.大学生×留学生
バイト先のコンビニ、店長に1つの紙袋を渡された。
「桜君の忘れ物なんだ。湯上君、学校同じだよね?渡してくれるかな。」
「はあ。」
可愛いチェックの紙袋。ご丁寧にハートのシールで封をしてある。店長がわざわざ入れたらしい。
「中身は、見ちゃ駄目だよ。」
口元に指を立てて、言われた。はあ、と軽く返事をする。
わざわざ紙袋に入れる程、見てはいけない忘れ物って何だよ、と思うが、桜について特に興味も無いし、気にせず受け取った。
桜は、夕方にシフトが入っている、同じ大学の奴だ。ただ、学部が違うので、学校内ではあまり会う事は無い。
俺のシフトは早朝。たまに夕方に出ると、桜に会う。仕事は真面目にやって、恐らく良い奴だと思う。いつもシャフールって外国人と居る印象がある。そいつに日本語を教えてやったりしているし、やはり優しい奴なんだろう。
バイトが終わって、そのまま1限があるので、歩いて学校に向かう。桜と被る授業も無いので、昼休みにでも渡すか、と考えた。
店長曰く、すぐにでも必要だろうから今日中に渡して欲しい、との事だった。そんなもの忘れるなよ、と思ったが、忘れたんだから仕方ない。
学校に着くなり、付き合っている女の子に呼び出された。いや、正確には、付き合っていた、になってしまった。
「湯上君、いつも自分の事話さないんだもん。最初はそれが格好良いなって思ったけど、どんどん不安になっちゃって。」
だとさ。
ミステリアスで格好良い、とよく言われる。しかし反対に、自分の意見を言わず、何を考えているか分からない、とも言われる。
勝手だよな、とも感じたが、執着する程付き合っていた訳ではないので、はあ、と軽く返事をしてお別れした。
何も考えていない訳じゃあない。勉強の事とか、将来の事とか、考えるべき事は考えている。しかし、本来俺は他人に執着するタイプではないのだろう。付き合っている人が今何をしているか、とか、何をしたいか、とか、そう言う事は殆ど気にしない。
俺の人生には、他人は必要最低限しかいらないのかもなあ。
昼休みになり、学食へ行くと、角の席で友達と話しながら狐うどんを食べている桜がいた。すっと近寄って、肩を叩きながら人差し指を立てる。
何、と振り向いた桜の頬に、指が刺さった。桜は真っ赤になって怒ったが、桜の友達は笑っている。これは結構面白いのか。これからはもっとやるようにしよう。
「何だよ、何か用。」
怒りながら桜が聞いてきた。俺は紙袋を差し出す。
「バイト先に忘れていったろ。店長が、渡してくれって。」
受け取りながら、中身を確認した桜は、先程よりも赤くなった。
「すぐにでも必要だろうから、って言ってたけど。」
「う、うん、ありがとう!」
狼狽えながら、紙袋を小さく潰して、鞄に入れた。そんなに慌てる程って、何なんだよ。
「何入ってたの。」
普段興味を持たない俺も、流石に気になって聞いた。
「え?いや、何でもないよ!」
「何でもなくて、そんな慌てるのか。」
「いいから!湯上には関係ないから!」
背中を押されて追いやられた。
授業が終わり、学校を出ると、門の所に人集りが出来ていた。
女の子がきゃあきゃあ言っている。その真ん中に飛び抜けて高い頭が覗いていた。
肌の黒い、イケメン外国人が2人。1人は知った顔だったので、近付いて声をかける。
「シャフール?」
名前を呼ばれて振り向いたシャフール。
「ユカミさん。」
「ゆがみ、な。」
よく間違われるので、訂正する。
「ユガミさん、サクラさん、何処にいますか?」
昼から桜は見ていない。何せ学部が違うし、同じ授業は今日は無い。
桜を待っていたのか。でも、今日はバイト、休みじゃなかったか。
ふと、隣のもう1人の外国人と目が合った。シャフールより大きい男だ。ニッ、と肌とは対照的な白い歯を見せて笑った。取り敢えず会釈する。
それに気付いたシャフールは、男を紹介した。
「ユガミさん、アランです。お友達です。」
「よろしく、ユガミさん。」
流暢な日本語で、手を出してきた。握手をすると、手まで大きい。
背だけじゃなくて、全体的に筋肉質で、デカいな。威圧感がある。
「文学部も、もう終わると思うけど。」
シャフールに言うと、校舎の方を見た。
仲良いよな、桜とシャフール。そう言うの、少しだけ羨ましいかもしれない。友達関係も浅い俺は思った。
俺はふと、昼に気になった事を聞いてみる。
「なあ、桜、昨日忘れ物したの、何か知ってる?」
シャフールは暫く考えた。
「すぐにでも必要だろうから、って店長に言われたんだけど。」
「コンドーム。」
思い出したように言った。
「昨日、アルバイトの前に、お薬屋さんに寄りました。そこでコンドーム買いました。でも、サクラさんの家に行ったら、バッグに入っていませんでした。」
へえ、と小さい声で言った。そうか、ただ仲が良い訳じゃあなかったのか。店長は何処で知ったんだろう。いや、毎回2人のやり取りを見ている店長には、当たり前に分かるものなのかもしれない。しかし、流石に驚く。シャフールに初めて話し掛けられた時も、低い声と、その後の行動に驚いたが、こいつは俺を驚かせる天才だな、と思った。
「カリームは、サクラさんを待ってるけど、俺は暇なんだ。」
アランと呼ばれた男が、俺に近付いてきた。目の奥がギラギラしている。
誘われてる?
そう言えば、男と付き合った事はないな。
「ユガミさん、下の名前は?」
「浩一。」
「コウイチ、良い名前だね。」
そう言って、俺の手を取りキスをした。
こんな童話の王子みたいな事、初めてされた。
その時、俺の中の何かが反応して、ゾクゾクと背中を伝ってきた。
一つ、提案してみる事にする。
「アラン、暇なら俺の家来る?此処から近いよ。」
アランはニッコリ笑って、俺の耳元で囁いた。
「家に知らない男上げるなんて、君もなかなかだね。」
再び湧き上がる感覚。俺はその感覚を腹に抑え込んで、アランに笑顔を向ける。
アランは俺の肩を抱き、シャフールに手を振った。
家に着いて玄関を開けた途端、アランは俺の頭を掴み、キスをしてきた。息継ぎをする間もない程に、舌を絡めてくる。まるで唾液の交換をするかのように、溢れ出る涎が下に落ちる。そのまま、家に入る。
顔を離したアランは、舌舐めずりをして俺の顎を掴んだ。俺はそれを無視して、再びキスをする。まるでアランの口腔内を犯すかのように、無理やりのキス。アランは驚くどころか、キスをしながら俺の身体をまさぐってきた。シャツを捲りながら、ジーパンの隙間に手を入れてきて尻を揉む。
違う。そうじゃない。
俺はアランを押し倒し、上に乗った。アランは余裕の表情だ。
「コウイチ、君は積極的だね。」
自分のシャツを脱いで、それからアランの服も脱がせる。
口から耳、首筋とどんどん下にキスをする。そして、胸に到達すると、迷わず乳首を口に含んだ。
アランは喘ぎながら、俺の頭を撫でる。
手を下に這わせて、股間を通り過ぎ、尻の穴に触れると、流石にアランが焦り始めた。
「コウイチ、」
「デカい方が優位に立つなんて、誰が決めた。」
アランの顔を覗き込むと、青くなっている。そっちのつもりではなかったのだろう。
俺のあのゾクゾク、あれは、この大きく逞しい、自信に満ちた男を屈服させてやりたいと言う欲望によるものだった。
ボタンを外し、下半身も露わにする。俺よりずっと大きい股間のそれを咥えながら、穴を弄る。アランは俺の肩を押さえながら、快楽に喘ぐ。こういう奴は、性の快感には抗えない。我慢汁と涎が穴まで滴り、指をすんなり受け入れた。
2本、3本と増やしていく。ひくひくと、指を咥えて震える穴に、俺は興奮してくる。グリ、と指を曲げると仰け反る身体。青かった顔は、紅潮し、浅い息を吐いている。
指を抜き、ジーパンから俺のものを出して、穴に当てがう。ズズッ、と簡単に受け入れた。
「コウイチッ、俺は、こっちのつもりじゃっ、」
「知らない男の家にノコノコ着いてきたくせに、今更言うの?」
一気に奥を突くと、魚の様に跳ねる身体。精液を吐いた。
「ははっ、気持ち良かったんだ。」
まだ達していない俺は、何度も腰を振る。動くたびに、腹につきそうな程反り返ったアランのものから、透明な液体が噴き出す。
「あっ、コウイチ、コウイチッ、」
潮を吹きながら、何度もいくアラン。ゲイとは言え、こちらには慣れていない様だ。まあ、これだけ身体が大きければ、普段は抱く側だろう。
聞き慣れない外国語で、何かを言いながら喘ぐアランを見ていると、どんどん興奮してくる。
俺は遅漏だから、果てるまで時間がかかる。今迄の女の子にも、なかなか終わらない俺に付き合わせて疲れさせたものだ。
しかし、相手は男だ。体力はあるだろう。遠慮無く動き続ける。
挿入れたまま、首筋にキスをし、そのまま噛み付いた。血が滲むほどに力を入れると、アランは再び潮を吹く。
「駄目っ、コウイチッ、」
「こんなに出しておいて、駄目はないだろ。」
噛み付くと、身体が反応してビクリと反る。どうやらこういうのが、好きらしい。
「痛い、痛いからっ、」
「痛いとイク訳?とんだ変態じゃん。」
そう言うと、顔を赤くした。
「アラン。」
俺は赤くなった可愛い顔を見ようと、覗き込む。涙と涎でぐちゃぐちゃになっている。舌を絡めてキスをすると、アランはまた果てる。
「可愛い。」
キスをしながら呟くと、アランは顔を隠した。
俺はその手を退けようとするが、頑なに拒否される。
「こんなのっ、」
上擦った声で、アランが言う。
「いつもは、俺が相手を抱く筈なのにっ、こんな、恥ずかしい事っ、」
「でも、下は正直に反応してるよ。」
勃ち上がっているそれに触れながら言うと、アランはますます赤くなる。
「今迄、色んな奴に手を出した、けどっ、こんなにされたの、初めてでっ、」
「じゃあ俺が初体験だ。嬉しいな。」
「コウイチッ、早く、イって、俺、おかしくなりそうっ、」
「おかしくなって良いよ。」
キスをすると、力が抜けて、更に奥を突き上げる。
最早アランは何回いったか分からない。押し寄せてきた波に、俺はやっとアランの中で吐き出した。
「こいつ、何とかしてくれ。」
翌日の夕方、コンビニで桜とシャフールに訴えた。
俺の背後には、身体に腕を巻き付け、肩に顎を乗せ、離れないアラン。
2人は目を丸くして、すっかり変わったアランの姿を見ている。
「何があったの。」
桜は動揺して、声が震えている。
「こんなキャラじゃなかったじゃん。」
「何か、懐かれちゃって。」
アランの頭を撫でながら言う。シャフールが、外国語で何かを言うと、それに頬を赤く染めながら答えるアラン。
「アランは、ユガミさんが大好きみたいです。」
うん、まあ、見れば分かるよ。俺が知りたいのは、何故こんなにくっつく程懐かれたのか、だ。
「アランは、初めて抱かれました。ユガミさん、初めての人です。とても良かったって、言っています。」
俺ではなく、桜の顔が赤くなった。シャフールは、アランを俺から引き剥がそうとしてくれたが、アランは俺に頬擦りをして、イヤイヤと離れない。
「俺にはもう、コウイチだけ!」
シャフールはあきらめて、レジに戻った。
「ユガミさん、アランをお願いします。」
あの日だけのつもりだったのだが、いざここまで懐かれると、悪い気はしなかった。
今迄誰にも執着しなかった俺が、アランを可愛いと思っている。自分でも驚いた。
2人に頭を下げて、コンビニを出た。自分より大きい男にくっつかれていると、歩き辛い。アランはそんな事気にする風もなく、コウイチ、コウイチ、と抱き付いている。
まあ、もう少し、付き合ってみるか、と思った。
「びっくりした。」
「アランがあんなになってるの、僕も初めて見ました。」
「湯上があんなに相手とイチャイチャしてるのも、初めて見たよ。」
「サクラさん。」
「うん?」
「サクラさんの名前、何ですか?」
「え、」
「僕も、呼んでみたいです。」
「は、晴人。」
「ハルトさん。」
「いや、やっぱり恥ずかしいから、いつも通りにして!」
「駄目ですか?ハルトさん。」
「駄目って言うか、恥ずかしいから、」
「2人きりなら、良いですか?」
「え、あ、うん、あーでも恥ずかしいから、サクラさんにして!」
「残念です。ハルトさん。」
「もう、わざとだろ!」
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