2.留学生目線

 

 

カリームです。パキスタンから来ました。留学生です。学校の寮の側のコンビニで、アルバイトをしています。

そこで出会いました。サクラさん。優しくて、素敵な人。これが、運命の出会い、ですね。

僕は、なるべくサクラさんと一緒にお仕事したいです。だから、サクラさんの予定に合わせます。テストがある時は仕方ないですが、悲しいです。いつもサクラさんといたいです。

最近になって、サクラさんに好き、と言ってもらいました。キスをして、それからセックスもしました。サクラさんは、慣れていないと言います。顔を赤くして、僕の名前を呼んでくれます。とても可愛いです。僕は思わず、笑顔になってしまいます。サクラさんが気持ち良いと、僕も気持ち良いです。

でも、ここ数日、サクラさんは困った様な、怒った様な、そんな顔をして、うんうん唸っています。サクラさんに聞いても、何でもない、と慌てた様子で目を逸らされてしまいます。気になります。でも、サクラさんを困らせたくはありません。嫌われたくはありません。だから、僕は気になっても、気にならない振りをします。

 

学校には、サクラさんはいません。サクラさんは違う学校です。少し、寂しいです。でも、その分、アルバイトで会える事が楽しみになります。

「ハァイ、カリーム!」

留学生のお友達が、お昼ご飯の時間に声を掛けてくれました。留学生のお友達とは、基本的に英語で会話します。日本語は難しいので、英語で話せるのは、簡単です。

「どうしたの?元気ないね。」

「例のボーイフレンドの事かしら。」

「彼とはその後、どうなんだい?」

実は、と僕は相談しました。1人で考えても答えが出ない時は、人に聞くのが一番良いです。

「僕に何か言えない事、あるのかな。」

話を聞いてくれた友達は、考えてから、答えてくれました。

「ガールフレンドが出来た、とか」

「そんな!」

思わず立ち上がってしまいました。食堂にいる人が僕を見ています。びっくりしています。僕はもう一度、座り直します。

「サクラさんは僕の事、好きだって言ってくれたよ。」

「でもさ、カリームは言っちゃなんだけど...結構マッチョじゃない。」

「サクラさんって、元々はゲイじゃないんだろ?それなら、カリームみたいのより、細くて可愛い女の子の方が良いことに気付いた、とかあり得るよ。」

言葉が出ません。サクラさんは、ゲイではありませんでした。でも、僕を好きと言ってくれたし、嫌がってはいません。

「カリーム、グイグイ行くからな。」

「そうよ。流れに任せちゃった、って事もあるかも。」

そうでしょうか。サクラさん、お友達に怒った事あります。嫌なら嫌って、きっと言います。

「様子見だな。」

折角相談したけど、悲しい気持ちになりました。

 

今日は学校が終わったら、アルバイトです。サクラさんもいる筈です。コッソリ聞いてみましょう。

ロッカーで着替えます。何かあっても困らない様に、メモを持ち歩きます。サクラさんが教えてくれた事、全部このメモに書いてあります。これを持っていると、安心します。

でも、時間になっても、サクラさん来ません。

僕は心配で、部屋に貼ってあるシフトテーブルを確認しました。

サクラさんの名前が横線で消されていて、他の日に移動していました。

不安になります。僕のせいですか。

店長さんに聞いてみます。

「店長さん、今日はサクラさん、来ません。何故ですか。」

店長さんは、コンピュータから目を離して、こちらに振り向いて、シフトテーブルを確認します。

「ああ、桜君ね。この間入った時、今日は予定が入っちゃったから、別の人と代わってもらったんだよね。たしか。」

「何故ですか。」

「うーん。何でだろうね。シャフール君、聞いてないの?気になる?」

頷きます。気になります。

「今日代わってくれた子に、聞いてみたら?」

そうします。僕のせいなら、サクラさんに謝らなければいけません。

代わりの人は、サクラさんみたいに話してくれません。僕は身体が大きいから、怖いのかもしれません。

「すいません。」

レジに入って、お客さんを待っています。今なら聞く事、出来ます。

代わりの人は、僕の声に少しびっくりした様です。僕の声、低いと言われます。怖がらせてしまいました。

「な、何。」

「サクラさん、どうして今日いませんか。」

「桜?ああ、桜ね。なんか、コンパ誘われたんだって。どうしてもって言われて、断れなかったらしいよ。」

僕のせいではありませんでした。安心しました。

でも。

「コンパって、何ですか?」

「あー、合コンだよ。えーと、男と女が一緒に酒飲んで、良い感じになったら付き合うってやつ。」

「お酒に付き合いますか。」

「違う違う。デート。うーん、何で言ったら良いかな。あ、あれだ。パートナー?だっけ?恋人になるって事。」

パートナー。恋人。僕はハートがドキドキしました。

サクラさんは、恋人を作りますか。僕は恋人では無かったですか。

僕は、代わりの人に聞きます。

「サクラさんのいるお店、分かりますか。」

「え、多分この辺で合コンっつったら、駅前のイタリアンバルだと思うけど...

慌てて、走り出します。

「ちょ、待って!バイトどうすんだよ!」

そうでした。今はお仕事中です。サクラさんなら、お仕事を投げ出したら、怒ります。

「行っておいで、シャフール君。」

店長さんが、レジに入ってきました。僕はびっくりします。

「桜君を奪い取ってくるんだ!」

店長さんの言葉に、嬉しくて、急いで外に出ます。

「有難うございます、店長さん!恩着せがましいです!」

ユニフォームを脱いで、走り出しました。

...何だったんすか、あいつ。」

「青春だよ。あと、多分、恩に着る、って言いたかったのかな。」

 

駅前に来ました。

イタリアン、と言っていたので、きっとイタリア国旗のあるお店です。

赤と白と緑の旗が揺れているお店、見つけました。急いで中に入ります。

「いらっしゃいませ。」

女の人が言いました。

「ご予約なさってますか?」

「なさってないです。」

「では、待ち合わせですか?」

「は、はい。」

案内された先に、広い部屋がありました。テーブルに、男の人と女の人が、別れて座っています。

真ん中に、サクラさん、いました。

「サクラさん!」

僕はサクラさんに駆け寄ります。サクラさんは、びっくりしていました。僕は腕を引いて、この場所から離れようとします。

「あ、いつかの外国人。」

サクラさんのお友達が言いました。でも、今はそんな事、気にしてる時じゃあありません。

サクラさんは引かれた腕を払ったりしないで、お金をテーブルに置きました。

「迎え来たから。俺、帰るわ。じゃ。」

そう言って、外に出ました。

 

お店の外に出てから、サクラさんの腕を離しました。

「ごめんなさい。」

僕は謝りました。たくさん謝りました。

「サクラさん、恋人、作ります。僕が邪魔をしました。ごめんなさい。」

僕の言葉を聞くと、サクラさんはその場に座り込みました。ため息を吐いています。

「恋人、そっか、そうだよなー...はは...俺だけ勘違いしてたのかな...そうだよな、付き合おうとか、言ってないもんな...

サクラさんは、何だか悲しそうです。僕はどうしたらいいですか。サクラさんの言葉、意味、時々難しくて分かりません。

サクラさんはバッグに手を入れて、リボンの付いた袋を僕に投げました。

「それ、渡すタイミング、分かんなくて。ちょっとグシャグシャになっちゃった。ごめん。」

開けてみると、青いストーンの付いたブレスレットが入っていました。

「パキスタンの事調べて、伝統工芸、つーの?そう言うのが、青いやつだったから...その、」

それからまた、サクラさんはため息を吐きました。

「重いよな、俺。こんなん。付き合ってもないのにプレゼントとか、普通に引くよな。」

座り込むサクラさんに、どうしたらいいか分かりません。でも、僕が言わなきゃいけない言葉は、分かります。

「サクラさん、嬉しいです。」

サクラさんが、顔を上げました。

「僕、サクラさんに恋人作って欲しくありません。何故なら、僕がサクラさんの恋人だからです。違いますか?」

「違わない!」

サクラさんが、立ち上がってくれました。

「俺、俺も、カリームが好き。恋人だと思ってくれてたなら、すげー嬉しい。」

僕は笑顔になります。サクラさんも、笑顔になります。

僕はサクラさんに近付いて、少しキスをします。

「サクラさん、この前の事、覚えてますか。僕が言った事。」

サクラさんの顔が、赤くなりました。可愛いです。

「サクラさんの家、行きましょう。」

僕とサクラさんは、手を繋ぎます。並んで歩くと、幸せです。

 

ドアを閉めました。同時に、僕はサクラさんの上に乗っかります。サクラさんはびっくりして、倒れます。

「サクラさん、次はサクラさんが挿入れます。約束しました。」

「う、うん。でも、此処まだ玄関、」

「待ちません。サクラさん、直ぐに僕とセックスします。ここでします。」

僕はサクラさんの服を脱がせます。サクラさんの、僕より小さい性器が勃ち上がっています。僕は、お尻に指を入れます。サクラさんが、挿入れやすいようにします。

ゆっくりと、お尻にサクラさんの性器を挿入れていきます。サクラさんは時々、あ、う、と呻きます。

「すご、凄い、カリーム、きもちい、」

気持ち良かったみたいです。僕は安心して、腰を動かしました。

「あ、カリーム、そんないきなり動いたら、駄目っ」

「駄目は気持ち良い意味です。」

サクラさんのために、動きます。お尻に力を入れて、サクラさんの性器を搾るようにします。

「あっ、」

サクラさんの性器から、精液が出てきたのをお腹で感じました。

サクラさん、僕で気持ち良くなってくれました。僕は嬉しいです。

「カリーム」

サクラさんが僕の胸に顔を付けて、抱きしめてくれました。幸せです。

「本当ごめん。あの合コンは、人数合わせで呼ばれただけだから。俺にはカリームがいるし。他に恋人なんか、作らないよ。」

僕もサクラさんを抱きしめます。

「良かったです。心配、しました。僕の事、嫌いになったのかと思いました。」

「嫌いになんか、なるかよ!俺の初めて、全部奪った癖に!」

その言葉に、僕の性器が勃ち上がりました。

「サクラさん、」

僕はそっと、サクラさんの頬に触れます。

サクラさんは、僕の性器を見て、少しびっくりしています。

「カリーム、まさか、」

「サクラさんに、挿入れても、良いですか。」

サクラさんは、顔を真っ赤にして、少し考えてから、いいよ、と言ってくれました。

 

「カリームの馬鹿。絶倫野郎。」

サクラさんが、ベッドから、ティッシュを僕に投げます。

「ごめんなさい。痛かったですか。」

「痛いなんてもんじゃない。」

サクラさん、怒ってます。どうしましょう。

「何回すれば気が済むんだよ。俺、もう腰痛すぎて動けない。」

「ごめんなさい。どうすれば、許してくれますか。」

僕が謝ると、サクラさんは考えて、言いました。

...高いアイス。チョコのやつ、食べたい。」

座ったままの僕に、またティッシュを投げます。

「アイス奢って!今すぐ!買ってきて!」

僕は慌てて服を着て、財布だけ持ってお店に行きました。高いアイス、チョコのやつ...

 

閉まった玄関を見て、俺は1人で呟いた。

「カリーム、大好き。」