短編3.


叔父さんの朝は早い。なんて言ったって、俺と一緒に暮らしてからは、会社に行く準備だけでなく、俺が学校に持って行くお弁当も用意してくれているからだ。

早朝五時。キングサイズのベッドに一緒に寝ているけれど、叔父さんは俺を起こさないようにそっと布団から出る。でもね、本当は俺、その時起きてるんだ。低血圧の叔父さんがもそもそと起き上がって身支度している様子を見て、俺は毎朝勃っちゃうんだ。だって、すごくセクシーなんだもの。

叔父さんが部屋を出ていくと、俺はこっそりオナニーする。勃っちゃったものは、仕方ない。処理はしなくちゃ。朝からおじさんに負担をかけるわけにはいかないしね。

六時になって居間へ降りて行くと、叔父さんが朝ごはんを作っている。毎朝、メニューが楽しみで仕方ない。今日は、目玉焼きとベーコン。勿論、あの美味しいベーコンだ。叔父さんは肉の加工も得意なんだ。尊敬しちゃうよね。

朝ごはんを食べながら、お弁当を覗く。今日は焼肉弁当だ。嬉しいなあ。俺の大好きなお弁当。叔父さんのお弁当は、どれも好きだけれど、やっぱり焼肉弁当が一番だ。友達には、また肉?なんて言われるけれど、育ち盛りの中学生が肉が好きなんて当たり前じゃないかなあ。

「ベーコンのおかわりは?」

「欲しい!」

元気に返事をすると、叔父さんはくすりと笑う。ちょっと子供っぽかったかな、と思ってしまったけれど、叔父さんは、俺の頭を撫でてくれる。

「花は元気で、良い子だなあ。」

俺を撫でている時の叔父さんは、本当に優しそうな顔をするんだ。目元の皺が寄って、くしゃりと笑う。それが、堪らなく愛おしい。叔父さん大好き、って毎日言ってるけれど、俺の大好きが叔父さんに伝わっているかは分からない。叔父さんにとって、俺は単なる甥っ子なのか、はたまたそれ以上なのか、それは少し怖くて聞けないんだ。だって、俺の好きと叔父さんの好きが違ったら、俺、勢い余って叔父さんを殺しちゃうかもしれないでしょ。それは嫌だな。叔父さんには、手足がなくなっても俺の側にいてほしい。俺に優しい言葉を掛けて欲しい。これって、我儘かな。

制服に着替えて、八時には俺も叔父さんも家を出る。叔父さんは駅方面だから、途中まで一緒。他愛もない話をして、三叉路で別れる。少し寂しいけれど、帰れば叔父さんがいるんだ。親が生きていた頃とは比べ物にならない幸せだ。

さあて、今日はどんな肉を獲ろうかなあ。